農地(田・畑)の持分放棄の登記手続

農地(田・畑)の持分放棄の登記手続

農地(田・畑)の持分放棄の登記手続について、説明します。

例えば、
農地(田・畑)をAさん、Bさん、Cさんの3名で所有している場合、Cさんが持分を放棄したいときは、どのような登記手続をすればよいでしょうか。

この場合、Aさんが持分10分の2、Bさんが持分10分の1、Cさんが持分10分の7という割合で共有している場合を考えてみます。

Cさんは自分の持分10分の7を他の共有者のAさん、Bさんに持分権を放棄します。
持分放棄による登記の方法は、Cさんの持分10分の7をAさん、Bさんに移転するという登記手続をします。

農地(田・畑)と所有権移転の関係

ここで、農地(田・畑)の所有権(持分権)を移転する場合には、基本的に、農地法の許可が必要となります。
通常の移転手続の売買、贈与などによる場合は、農地法の許可が必要となります。この手続は、市町村役場の農業委員会に申請します。

ところが、共有持分の放棄による場合は、他の持分権を有する人に対して、一方的に持分を放棄するため、農地法の許可を必要としません。

ですから、農地法の許可を得ることなく、農地(田・畑)の持分を放棄することができます。

農地(田・畑)の持分放棄の登記手続の方法

上記の事例で、Cさんが、Aさん、Bさんに持分を放棄する場合、Aさん、Bさんには、それぞれ持分をいくつ移転したらよいでしょうか。

事例では、Cさんの持分は10分の7です。

このCさんの持分10分の7の半分ずつ、すなわち、20分の7ずつ、Aさん、Bさんに移転するのでしょうか。

この場合、Aさん、Bさんに移転する持分は、Aさん、Bさんの持分の割合に応じて移転します。

計算方法は次のとおりです。
Aさんの持分10分の2、Bさんの持分10分の1、Cさんの持分10分の7

AさんとBさんの持分の割合は、2:1です。
Aさんには2/3、Bさんには1/3の割合で移転します。

実際にAさんに移転する持分の計算
7/10×2/3=14/30

実際にBさんに移転する持分の計算
7/10×1/3=7/30

14/30+7/30=21/30=7/10(=Cさんの持分)

上記の計算から、Aさんには持分30分の14を、Bさんには持分30分の7を移転することになります。

この結果、登記上のAさん、Bさんの持分は、次のとおりです。

Aさんの持分
2/10+14/30=6/30+14/30=20/30=2/3

Bさんの持分
1/10+7/30=3/30+7/30=10/30=1/3

この計算によって、所有権全体に対して、Aさんが持分3分の2、Bさん持分3分の1を共有している状態となります。

(以上、平成25年5月、横浜地方法務局港北出張所で登記済み)

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