相続登記後の土地分割(分筆)共有物分割

相続登記後の土地分割(分筆)共有物分割

相談内容
 過去の父の相続で母兄妹の共有名義になっています。将来のことを考え、分筆したいと考えています。
どのように分ければ良いのかまた費用はどのくらいかかるものですか。

回答
〇 分筆、単独名義の登記について、具体的にご相談の場合は、土地家屋調査士を交えてご相談に応じさせていただきます。

その際、次の書類を持参してください。
① 土地の登記事項証明書(過去に取得されたものでも結構です。)
② 土地の図面、公図など(過去に取得されたものでも結構です。)
③ 固定資産税の納税通知書(数枚に綴じられているもの)

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分筆登記について
〇 分筆登記を代理申請できる専門家は、国家資格者の「土地家屋調査士」に限られます。
 司法書士は、分筆登記を代理申請することができません。
当職の知り合いに土地家屋調査士がおりますので、具体的にご相談される場合は、ご紹介いたします。

〇 分筆登記にかかる費用は、次の条件によって異なります。
  通常、約50万円ほどかかります。
  また、次の条件によっては、分筆登記が完了するまで時間がかかることもあります。
 ① 土地全体の面積(測量します。)
 ② 分筆する各土地の面積(測量します。)
 ③ 公道に面している土地であれば、道路査定がなされているかどうか
   道路査定がなされていないのであれば、道路査定(道路所有者の市役所、県など)をする必要があります。
 ④ また、土地全体の面積を測量することから、現在登記されている土地の面積が増加するのか減少するのかどうか
 ⑤ 隣接土地所有者との境界についての同意が必要かどうか

〇 現在3名共有の土地を分筆して、それぞれ単独所有とすることになると思いますが、
  次のことを検討する必要があります。
 ① それぞれの土地を単独所有とした場合、それぞれの土地が建築に適した面積となるのかどうか(建ぺい率、容積率などを検討)
   建築に適した面積とならない場合は、分筆、単独所有とする意味がありませんので。
   また、建築に適した面積とならない場合は、分筆、単独所有とした後、将来、売却されるときは、売却に適さないことにもなります。
 ② 分筆登記後、単独所有とする登記の方法について
  この登記は、所有権(権利)の登記に関することになりますので、司法書士の専属代理行為となります。
  ア)現在の3名共有名義で登記されたとき、「相続」の方法が、法定相続分で登記されているときは、3名の「遺産分割」の方法でそれぞれの土地を単独所有とすることができます。
    遺産分割協議書を作成します。
  イ)現在の3名共有名義で登記されたとき、遺産分割による「相続」の方法で登記されているときは、3名の「共有物分割」の方法でそれぞれの土地を単独所有とすることができます。
    共有物分割契約書を作成します。

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〇 単独所有とする場合の登記の方法について(法定相続分で相続 → 遺産分割で移転登記)
 現在3名共有名義の人をA・B・C とします。
 ① A単独名義とするには、
   登記の目的をB・C持分全部移転とします。
 ② B単独名義とするには、
   登記の目的をA・C持分全部移転とします。
 ③ C単独名義とするには、
   登記の目的をA・B持分全部移転とします。

 以上3件で登記します。

〇 単独所有とする場合の登記費用について (法定相続分で相続 → 遺産分割で移転登記)
 実費
  登録免許税:移転する持分の評価価格の0・4%です。
  例えば、
  現在の土地の評価価格が4,000万円で、土地全体の面積が400㎡の場合、
  A持分2分の1(4分の2)A単独の面積を200㎡
  B持分4分の1      B単独の面積を100㎡
  C持分4分の1      C単独の面積を100㎡
  と仮定します。

  上記①②③の方法で登記しますと、登録免許税は、次の計算となります。
  現在の土地1㎡当たりの評価価格を10万円として計算します。
 ① A単独名義とするには、
   A単独の面積を200㎡
   100,000円/㎡×200㎡=2,000万円

   登記の目的をB・C持分全部移転とします。
   2,000万円×2/4=1,000万円
   1,000万円×0・4%=40,000円(登録免許税)

 ② B単独名義とするには、
   B単独の面積を100㎡
   100,000円/㎡×100㎡=1,000万円

   登記の目的をA・C持分全部移転とします。
   1,000万円×3/4=750万円
   750万円×0・4%=30,000円(登録免許税)

 ③ C単独名義とするには、
   C単独の面積を100㎡
   100,000円/㎡×100㎡=1,000万円

   登記の目的をA・B持分全部移転とします。 
   1,000万円×3/4=750万円
   750万円×0・4%=30,000円(登録免許税)

 司法書士報酬について
 上記①②③各登記について報酬を30,000円(税抜き)、合計:90,000円(税抜き)となります。

 その他の実費
 登記事項証明書などの証明書代として5,000円

以上、登記費用は、約(仮に)20万円となります。

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