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処分禁止の仮処分:NO,4(解決方法)

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処分禁止の仮処分:NO,4(解決方法)

簡単に前回までのおさらいです。
陸運局の登録事項証明書の備考欄に、東京地方裁判所の仮処分が登録されています。仮処分が登録されたのが30年前です。これを抹消したいということでした。

仮処分の当事者が推測できたので、まずは、仮処分を申し立てた人が、仮処分の取り下げをしてくれるかどうかの確認から始めます。

過去の履歴が記載されている、登録事項証明書(保存記録)には、次のように記載されています。
まず、所有者:A、つぎが所有者:B、そのつぎが仮処分、そのつぎが所有者:A、そのつぎが所有者:Cです。
仮処分に関わる人は、A・B・Cいます。CはAの相続人です。

そこで、仮処分を申し立てたと推測できるAの相続人と思われる、Cさんを訪問することにしました。
そうしたところ、仮処分の取り下げをすることが可能かどうか、確認したところ、仮処分の申立てをしたAの相続人:Cさんが、取り下げないということでした。

そこで、事情変更による保全取り消しの申立てを裁判所にすることになります。
この、事情変更による保全取り消しの申立てができるのは、仮処分の申し立て当時の債務者です。債務者が申立人となります。申立の相手方・被申立人は、仮処分を申し立てたAの相続人、Cさんとほかの相続人全員です。

まず、仮処分の申し立て当時の債務者に事情を説明し、事情変更による保全取り消しの申立てをしてくれるのかどうかを確認します。
仮処分の申し立て当時の債務者は、Aからフェラーリの所有権を取得したBです。
Bがほかの人にフェラーリの所有権を移すことを防ぐ目的で、Aが仮処分の申し立てをしたからです。

Bは会社であるので、現在Bの会社がどうなっているのかを調べます。
これは、会社の登記事項証明書を取得します。
会社の登記事項証明書には、仮処分当時の会社名が現在変わっており、代表者が記載されています。
そこで、この代表者宛に、事情変更による保全取り消しの申立てについての説明書を郵送しました。
そうしたところ、この代表者から電話があり、事情変更による保全取り消しの申立てをしないということを確認しました。
この代表者によれば、この会社を買い取っただけで、仮処分についてはまったく事情を知らない、仮処分についての書類もないことから、この申し立てができないということでした。

こういう場合、本来の申立人が申し立てをしないので、現在、フェラーリを所有している人が申立人となります。
この旨、私の依頼者に説明し、依頼者が申し立てることになりました。

そういうことなので、これからが結構大変な作業となりました。
相手方・被申立人のAの相続人:Cさんを含めた相続人全員の戸籍書類集めから始めます。
1)Aの出生から死亡時までの除籍謄本を取得します。
2)Aの相続人全員の戸籍謄本と戸籍の附票を取得します。
3)Aとその相続人の相続関係説明図を作成します。
4)本来、取り下げをすべきCさんを訪問したときの調査報告書を作成します。
これは、Aの相続人Cさんが、仮処分の取り下げをしない意思を確認した内容です。
5)本来、事情変更による保全取り消しの申立てをすべきB会社の調査報告書を作成します。
これは、B社が、事情変更による保全取り消しの申立てをしない意思を確認した内容です。

そのほかの書類を含めて、申立書に添付する疎明資料は、25通となりました。
申立書を含めて、これらの疎明資料を、相手方・被申立人であるAの相続人全員分をコピーするのがまた一苦労です。

その後、Aの相続人全員宛に、申立書の控えと、仮処分の取り消しの申立てをすることになった経緯を説明書にして郵送しました。
これは、裁判所から突然、書類が郵送され、びっくりされるであろうことから、事前にお知らせする意味で郵送しました。
ということで、相続人の一人から確認の電話がありましたので、事情を説明し、裁判所に行かなくていいんですね、と言うので、そうです、と話しました。

こういう作業が終わって、申立書一式を裁判所に提出し、申立人の依頼者が裁判所に出頭する期日が決まりました。
裁判の期日に、私も裁判所に出向き、事前に依頼者と打ち合わせをし、傍聴席で裁判の成り行きを見守ることにしました。
相手方、被申立人は、Cさんが来ていました。裁判官が申立人の依頼者とCさんに質問やら聞いていました。
結論的には、Cさんも申立書の内容を認めたので、裁判官が仮処分命令を取り消す決定を出してくれることになりました。

この決定により、裁判所が陸運局に仮処分の抹消書類を嘱託郵送してくれるので、あとは、陸運局の抹消登録が終わるのを待つだけとなりました。
これで一件落着となりました。

本来は、仮処分の申し立てをしたAが、自分にフェラーリを取り戻すことが確定した段階で、裁判所に対し、仮処分の取下げをすべきでした。
通常、仮処分の申し立てをした人の責任において、この取り下げをします。
不動産の場合は、ほぼ間違いなく、仮処分の取り下げをします。
というのは、不動産の場合、売買などで所有権を移転するとき、こういった仮処分が登記されたままでは、売買の阻害になるからです。いくら現在、実害がないからと言って、不動産の場合は、これが許されません。
また、仮処分が登記されている不動産が取引の対象となり、金融機関が融資する場合は、必ず仮処分を抹消できなければ、金融機関は融資しません。

今回のフェラーリの場合は、現在の所有者まで、あのAから所有者が10人変わっています。陸運局の登録事項証明書の備考欄に記載された仮処分に気が付いた人がいなかったのか、あるいは、気が付いた人がいたとしても、まあ、いいかあ、で取引されたのだと思われます。

参照
処分禁止の仮処分:NO,1(基本説明)
処分禁止の仮処分:NO,2(経過説明)申立人は誰?
処分禁止の仮処分:NO,3(経過説明②)取下げしてくれない

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